シャンプーのコアセルベート
おはようございます。
ヘアケア研究員のshoheyです。
前回、シャンプーのコンディショニング効果について解説しました。
シャンプーがある条件で水に溶けない物質を形成し、
それが毛髪表面に付着すると解説しました。
その正体が、コアセルベートでしたね。
今回は、そのコアセルベートを形成する条件について解説します。
ボタニストを例に挙げて、解説していきますね。
上記のマッピングを用いて、
仕上がりの異なるダメージケアとバウンシーボリュームを比較していきます。
マッピングング(仕上がり)を見ると、
縦軸に「滑らか」と「ハリ・コシ」がありますね。
一般的に、滑らかさはコンディショニング性が高いことを表しています。
ハリ・コシは、コンディショニング性を抑えて、さっぱりした使用感を表します。
(各社、独自の評価基準で設定しているため、私の意見と異なる場合があります。)
まず、ダメージケアの全成分表示を見てみましょう。
ボタニスト ボタニカルダメージケアシャンプー
水、ココイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルアラニンNa、コカミドプロピルベタイン、PEG-40水添ヒマシ油、コカミドメチルMEA、ラウラミドプロピルベタイン、ラウレス-4カルボン酸Na、グリセリン、ユズ果実エキス、ゼイン、メドウフォーム-δ-ラクトン、セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパク、ヒマワリ種子エキス、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、アルガニアスピノサ核油、ツバキ種子油、ホホバ種子油、ヒマワリ種子油、サルビアヒスパニカ種子油、サボンソウ葉エキス、サピンヅストリホリアツス果実エキス、シラカバ樹液、加水分解ケラチン(羊毛)、水添ココグリセリル、オクチルドデカノール、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-50、コカミドMEA、クエン酸、セテアレス-60ミリスチルグリコール、ココイルグルタミン酸TEA、ラウロイルサルコシンNa、トリイソステアリン酸PEG-160ソルビタン、BG、DPG、トコフェロール、EDTA-2Na、安息香酸Na、フェノキシエタノール、香料
そして、バウンシーボリュームの全成分表示も見てみましょう。
ボタニスト ボタニカルシャンプー バウンシーボリューム
水、ココイルメチルタウリンNa、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸Na、ラウレス-4カルボン酸Na、グリコシルトレハロース、加水分解水添デンプン、ソルビトール、トレハロース、乳酸桿菌/豆乳発酵液、ユズ果実エキス、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、グルタミン酸、センブリエキス、ローズマリー葉水、マンダリンオレンジ果皮エキス、シャクヤク根エキス、シラカバ樹液、サボンソウ葉エキス、サピンヅストリホリアツス果実エキス、リンゴ酸、デシルグルコシド、BG、ポリクオタニウム-10、コカミドMEA、ジステアリン酸PEG-150、セテアレス-60ミリスチルグリコール、エタノール、塩化Na、EDTA-2Na、フェノキシエタノール、安息香酸Na、香料
それぞれ、
青地で示したのが、アニオン性の界面活性剤、
赤字で示したのが、カチオン性の高分子です。
まずは一目瞭然で、
ダメージケアシャンプーの成分中に多くの界面活性剤と高分子が使用されているのが分かります。
特に、ダメージケアは、カチオン性高分子を3種併用しており、
より高いコンディショニング効果を実現していますね。
一方で、バウンシーボリュームのカチオン性高分子は1種のみです。
汎用性の高い「ポリクオタニウムー10(PQー10)」が使用されています。
ちなみに、他のモイストやスムース、スカルプも「PQー10」のみが配合されています。
少し専門的な話になりますが、
PQー10の中にも、カチオン性の度合いが異なる原料があり、
それを使い分けてコンディショニング性をコントロールすることができます。
つまり、PQー10単独の配合でも高いコンディショニング効果を与えることは可能です。
ただし、それは実際にシャンプーを試してみないと判断することは難しいです。
我々、研究員がシャンプーのコンディショニング性を変化させるのに、
PQー10のカチオン性の度合いや配合量を考えて、設計しているんですね。
ここまで、シャンプーのコンディショニング効果を実現するコアセルベートは、
アニオン性界面活性剤とカチオン性高分子の複合体であることを説明しました。
この複合体(コアセルベート)は、
界面活性剤や高分子の組み合わせによっても使用感が異なりますが、
まずはそれらの種類の豊富さによって推測することができます。
皆様のお役に立てることができれば、幸いです。